日本には、腰痛を自覚している方が約3000万人いるとも言われています。
令和4年の厚生労働省による調査では、腰痛が男女ともに一番のからだの悩みとなっています。
本記事では、腰痛の原因や対処について解説しますので、困っている方は参考にされてください。
腰痛の原因
1.非特異性腰痛(ぎっくり腰、筋筋膜性腰痛など)
急に重い物を持ち上げたり、長時間同じ姿勢を取っている方(デスクワーカーなど)、腰の筋肉が弱っている方に多く生じます。長時間同じ姿勢をとっていると、腰周囲の血流が悪くなり腰痛が生じやすくなります。通常は数日で軽快することが多いですが、原因が改善されないと、慢性化することもあります。
2.腰椎すべり症
腰の骨(腰椎)周囲の関節や靭帯がゆるむことにより、腰椎が前後にずれることで生じます。
腰椎がずれることで、腰椎の中にある神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、脳から降りてきている末梢神経(脊髄)を圧迫することがあります。
3.腰椎分離症
腰椎と腰椎の間の関節(椎間関節)を構成する部分の骨折などにより、連続性が絶たれ、椎間関節の不安定性が生じることにより腰痛が生じます。
4.変形性腰椎症
加齢により、腰椎やその間にあるクッションのような組織(椎間板)がすり減ったり変形したりすることにより生じます。
5.腰椎椎間板ヘルニア
椎間板が加齢や強い衝撃などで後方や外側に飛び出し、脊髄を圧迫することで生じます。
腰痛のほかに下肢のしびれ、痛みなどを伴うこともあります。
6.腰部脊柱管狭窄症
腰椎の中にある神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなることで生じます。
腰痛のほかに下肢のしびれ、痛みなどを伴うこともあります。
狭くなる原因は、靭帯の肥厚や、前述した腰椎すべり症、腰椎分離症、変形性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。
7.腰椎圧迫骨折
腰椎が押しつぶされるようにして生じる骨折の一種です。高齢者だと転倒やしりもちなど軽微な外傷、若者だと交通事故など重度の外傷で生じることが多いです。
8.その他
膵炎や腎結石などの内臓の病気や大動脈解離などの血管の病気などにより生じることがあります。
腰痛の対処について
急激な強い腰痛は大動脈解離や重度の圧迫骨折など手術が必要になる場合もあるため注意が必要です。
また、足に激痛が走る、尿や便が出にくかったり、その感覚がわからない(膀胱直腸障害)などの症状がある場合は、脊髄の強い圧迫があり、手術が必要となる場合もあります。
このような症状がある場合はすぐに病院を受診してください。
このような緊急の処置が必要な病気でない場合は以下のような治療を行います。
- 安静
痛みが強いときは無理をせず休みましょう。中腰や座っている姿勢は腰に負担がかかるため、横になり、負担の少ない姿勢をとってください。
しかしながら、過度の安静はかえって腰痛を長引かせてしまう場合もありますので、痛みが落ち着いてきたらストレッチを行うなどしてください。
- アイシング
急な腰痛に対しては、局所のアイシングも効果的です。アイシングにより、炎症が緩和され痛みが和らぐ可能性があります。
- 温熱療法
痛いところを温めることにより血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが和らぐことがあります。
- 鎮痛剤、シップなどの使用
痛みが強い場合は、鎮痛剤(アセトアミノフェン、NSAIDsなど)や湿布を使用することで痛みを抑えます。
長期間の鎮痛剤の内服は腎臓や消化管、肝臓に負担を与えることがあるので、医師と相談して使用してください。
- サポーター(コルセット)の使用
サポーターを使用することも腰痛には効果的です。ドラッグストアなどで販売しているものや、病院でオーダーメイドに作成するものなどがあります。
ただ、長期間のサポーターの使用は腰の筋力を低下させ、かえって腰痛を慢性化させることもあるため注意が必要です。
まとめ
腰痛の背景にはさまざまな病気がひそんでいます。
腰痛がある場合はまず、近くの整形外科を受診してください。 医師の判断でレントゲン、CT、MRIなどの検査をした上で、それぞれの治療にあたっていきましょう
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